『肢体不自由教育』258号を読んで

 「教師の専門性の向上」を特集した『肢体不自由教育』(日本肢体不自由教育研究会)258号が届いた。編集者からお声掛けをいただき、本号に「教師の専門性をどう理解し、目指すのか?」と題した小稿が掲載されることはすでに述べた。

 論文等を拝読すると、あらためてこのテーマが実践科学の課題であることを理解できる。実践報告では、「教室において教師はいかに自らの専門性を確保するのか」の問いに対して、「具体的な手続きに基づく取組」として紹介されていた。手続き上の再現性の確保は、実践科学としての要件に応えるものであり、読者の次の一歩への動機づけとなろう。

 日本肢体不自由教育研究会の設立と機関誌『肢体不自由教育』の創刊は、半世紀余り前まで遡る。当時、肢体不自由養護学校は急速に整備され、1969年度には全都道府県に設置された。養護・訓練が誕生したのも同時期である。そもそも肢体不自由教育及び養護・訓練の指導実績がない、まさに五里霧中での研究会の創設といえる。肢体不自由教育に携わる教師にとって、機関誌等を通して提供される情報や取組は、あすへの道標となったであろう。若い先生方がふえる今、状況は酷似しているように思える。

 最後に、「自らの理想を描くことが成長する教師の基本であり、理想に迫る具体的な行動が専門性の獲得につながる」考え方に立った小稿に目を通した。研究者であり続ける限り、私もまた成長途上にあることに気づかされる。

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